2022.9.28 再びアメリカへ
一時帰国したら緊張が緩んでしまった気がする。航空会社からの長ったらしい英文のメールとか読まなくなってしまった。大丈夫か?
今度は成田からロサンゼルス経由でサンフランシスコに戻った。さすがはロサンゼルス大空港、入国審査の外国人差別(別レーン)もなくて、サクサク進んで30分で解放された。しかしそんなことは事前にわからないので、今回乗り継ぎ時間を5時間くらい取ってあり、ロサンゼルス空港で少々時間を持て余した。スタバのコーヒーでも飲むかと注文したら、6ドルくらいした。1杯800円!サンドイッチは12ドル1700円(空港なので特に高い)。アメリカはインフレがすごくて、日銀が市場介入して1ドル145円が140円くらいになったけれど、焼け石に水だ。
(ターミナルは航空会社別に9つもある。自分の乗る便が掲示板にないと思ったら、アラスカ航空のターミナルだった)
(12ドルのサンドイッチ)
物価は日本の倍くらい、ホテル代は1泊2万円近くする。もうスタバにもレストランにも行かないで、スーパーで食品を買って生活することにしよう。
(冷凍のカレーは5ドルでなかなか美味)
2022.9.24 一時帰国(その2)国際うどん大学
一時帰国したので、香川大学の学会に(日帰りで)参加した。本当はサボろうと思っていたのだが、日本G会議、といううるさいところと共同主催のシンポジウムの司会に指名されており、行かないといけなそうだった。
当日朝の新幹線岡山乗り換えで行けばいいやと思っていたら、台風15号が静岡に「線状降水帯」をつくって静岡の豪雨がおさまらない。前夜、ついに東海道新幹線が止まってしまい、再開の見通し立たず。急遽高松までの航空便を予約した。
翌朝、新幹線は止まっているが羽田発高松行きは定時運航、雲が切れ、まっ茶色の天竜川が太平洋に泥水を押し出しているのが見えた。
高松は台風一過でさわやかな晴天、会場に着く前にまずはうどんを一杯と地図を頼りに行ってみたら定休日。それでは次と思ったら開店前で、まだだいぶ時間がある。しかし近くにはほかになさそうだったので店の前で待つことにしたら、何だかどんどん人が集まって行列をつくっている。そういえば行列のできる店だった。
(1軒目は定休日)
(2軒目の開店前の行列)
開店一番乗りはよかったがシステムがわからない。ちくわ天を頼んでうどんができるまで席で待っていたら、そこじゃなくてセルフでゆでるコーナーで並びなさいとしかられた。冷やしかゆでるか、だし(つゆ)は薄口か濃口か、トッピングは等、初心者は大苦戦。薄口のだしは何だか物足りず、行列の割に感動が薄かった(ちくわ天はおいしかった)。
(計390円)
会場に着いてシンポジウムの司会も何とか終わったので、帰りにまた一杯と思ったが夕方までやっている店はほとんどない。高松駅まで歩いてお土産にうどんを買って空港行きのバスに乗り、空港のうどん屋へ突撃。
今度はおでんをサイドメニューにぶっかけにしたら、だしが濃口で満足満足。何と学会のVIPも斜め前ですすっていらっしゃった。
(おでんにはからし味噌)
だしの濃淡がどうなっているのかと調べてみたら、「国際うどん大学」のサイトを発見(加ト吉がJTに吸収されたらしい)。勉強になりました。
https://www.tablemark.co.jp/udon/udon-univ/index.html
うどん検定初級も獲得した。
2022.9.22 一時帰国(その1)
勤務先の用事で一時帰国し、羽田に朝着いて勤務先へ直行、スーツケースをガラガラ引きずって遅れて会議室に着いたら、えらい人ににらまれた。やばいぞ。
その他一時帰国中のミッションとしては、ワクチン(4回目)と歯医者さんとメールシステム変更のための設定変更(一人では絶対できない)、散髪などなど。
ワクチンは数日後にオミクロン株対応に切り替えが始まるため、まずはメールの設定変更。システム変更はMicrosoftのご都合だそうで、これまで転送して使っていたのが使えなくなるとのこと。よくわからないけれど、ついにMicrosoft帝国に膝を屈する(Outlookを使う)しかなくなったが、実はだいぶ使い勝手がよくなり、ほとんど転送先と同じような使い心地になっていた。
東京の歯医者さんは、ベトナムの歯医者さんの診断(抜歯)に「僕も賛成です」。ただしもうしばらく待ってもいいとのこと。もちろん先送りだ。
次は(またもや懸案の)SIMカードの設定。大手携帯会社の回線を使った格安SIMだったので一筋縄では行かず、ソフトバンクの社員さんが格安会社B社に問い合わせようとしたが翌日以降の電話予約のみ。
翌日もう一度ソフトバンクでB社から電話がかかってくるのを待ち設定してもらうがつながらない。これってバークレーのAT&Tで2時間かかったのと同じ症状だ。B社の窓口は「弊社でこれ以上できることはない」とのたまい、ソフトバンクのお姉さん「B社はもうやめた方がいいですよ」とご立腹。しかしそこは大手、ipadのappleに相談してくれた。何がどうなったのかはもちろんわからないが、ついに格安B社につながった(所要1時間)。ありがたやありがたや。
そういえばソフトバンクの窓口で相談しているのはみんな高齢者で、最後は皆「ありがとうございます」と平身低頭で退出している。もちろん私も。
(定食屋さんでランチ、脱走中は日本食を食べなかった)
ワクチンは「予約なし」で接種できる東京都の大規模会場に行ってみた。東京駅丸の内口から皇居にのびる「行幸通り」の地下道がワクチン会場になっている。オミクロン株対応初日でファイザーかモデルナか選択でき、2回ずつにするかとモデルナにしたが、なんとなくファイザーのほうが人が多いかな。まあいいや。
受付、問診、注射、15分間待機などがすべて行幸地下の一方通行になっており、終わると日比谷通りの下まで来ていた。地下鉄で区役所へ海外用の「ワクチン接種証明」をもらいに行ったら「パスポートがないとダメです」。やれやれ、自宅を往復して閉庁ギリギリでセーフ。
(UNITED航空のリラックスビデオでなぜかそば打ちをやっていたので食べたくなった)
2022.9.15 ポルトガルの学会とジオパーク巡検
コインブラでの学会の会場は中庭を囲んで回廊がポスター会場で、口頭発表の会場は1~3階の3フロアでわかりやすかった。参加者はコロナの影響で中国の人は来られず、アジア・アフリカ系はものすごく少なかった。日本からも7~8人位。コンビーナーをやった会場は6人発表のところ2人しか来なかった。
今回は参加費に昼食とコーヒーブレイクが含まれており、昼食はスープ、パン、サラダ、メイン(2種)、デザート、ワインもある。コーヒーブレイクでは各種ポルトガルスイーツとフルーツ食べ放題?だがコーヒーがエスプレッソでミルクなし。スイーツ各種はほぼ制覇したかな。
(ランチタイム、デザートも充実)
学会の中日は日帰り巡検の日で、いくつかコースがあったが、「アロウカAroucaジオパーク(ユネスコ世界ジオパーク)」というのがあったので参加した。
アロウカはコインブラから北へ100km位で、地質は古生代の堆積岩と花崗岩類からなる。巨大三葉虫化石産地や花崗岩の風化によるボルンハルトや峡谷の地形などがジオサイトになっている。
(花崗岩のトア)
あいにくの雨で何カ所かあった展望ストップはあまりよく見えなかったが、名物の長さ516mの吊り橋では雨が上がった。長さは世界一ではないが河床からの高さ(170m)は世界一とのこと。
昼食は「ジオフード」で、地元産の野菜のサンドイッチと地元産のパッションフルーツレモネードと地元産のリンゴや梨をいただいた。
午後は展望ストップの代わりに、アロウカの町なかの拠点施設でビデオを見て、ジオパークグッズの三葉虫マグネットとかガイドブックを購入、修道院の向かいのお菓子屋さんでお土産のお菓子(ジオパーク認証)も購入(帰国後食べたがおいしかった)。
(ジオパーク拠点施設)
ポルトガルはEUの中で紙の生産がトップだそうで、原料のユーカリ植林が至る所を覆っていた。オーストラリアからの参加者がユーカリ林の匂い(ヒノキに似ている)を嗅いで「なつかしい(home)!」と言っていたが、脂分が多く燃えやすいため、熱波であちこちで森林火災も発生している。
(コアラはいないよ)
もとは地中海の常緑広葉樹(硬葉樹)林でコルク樫とかトキワ樫とかの森だったはずだが、谷沿いにわずかに残っている位だ。この樫のどんぐりで育てた豚がハモンイベリコ(ナッツの香りのする生ハム)になるのか!
(本来の植生)
巡検の翌日が発表で、自分が発表した会場は知っている人は誰もいなくてむちゃくちゃ熱心に議論しておりどうしようと思ったが、幸いボスみたいな先生が質問してくれて何とか答えることができた。
自分の発表が終わった後コーヒーブレイクで急いでおやつを食べてから、残念ながら業務のため一足先にリスボンに戻り、翌朝の早朝の便で一時帰国した。
ポルトガル滞在中は低気圧の直撃で連日雨模様で少々残念だったが、行きも帰りも虹が出ていた。
2022.9.13 コインブラ
ポルトガル中部のコインブラは、ヨーロッパ最古レベル、1290年創立のコインブラ大学一帯が世界遺産になっている。高野山か綜芸種智院か?
(丘の上の大学が世界遺産)
9月で新学期だったからか、黒いスーツに黒マント(カッパ)の学生が歩き回っていておもしろい。ハリーポッターのモデルだったらしい。学ランみたいなものか。
(カッパはポルトガル語)
学会はコインブラ大学ではなく、モンデゴ川対岸のサンフランシスコ会議場だったが(サンフランシスコから来たんですけど;)、ここも歴史的建物で、旧修道院、病院、織物工場などを経て市の施設になったらしい。
(学会会場)
よく調べないで宿を予約したら、コインブラ大学正門のそば、要するに丘の上で、標高100m位。モンデゴ川の橋が標高20m位なので、毎日伊香保温泉みたいな階段か、狭い石畳の急坂を上り下りしなければならなかった(世界遺産の中でおもしろかったけど)。
(石畳の道)
丘の下の目抜き通りにはお土産屋さんやお菓子屋さんやカフェがならび、観光客(や学会参加者?)で賑わっている。お菓子屋さんには巨大な(差し渡し20cmくらい)のメレンゲが積み上げられ、砂糖とバターと卵が大量投入された各種スイーツと、金平糖confeitoもあった。
(下段がメレンゲ、上段がコンフェイト)
インドのスイーツが激甘で(シロップ漬けの激甘揚げ団子とか)、お土産にあげても食べてもらえない感じだったが、そうか、さてはポルトガル(ゴア)がルーツだな。マカオのエッグタルトとか、日本でもカステラ、金平糖、(福岡の)鶏卵素麺はポルトガル伝来だよね。さすがは大航海時代に世界を制覇したポルトガルだ。
ポルトガル料理は魚介類とオリーブオイルを多用し、「だし」がきいている(これは発見だった)。干し鱈を戻したバカリャウとか、鰯(サルディーニャ)とかサバとかタコとか。炊き込みご飯もだしがきいてうまいうまい。
(左;バカリャウ、右;学会のランチの絶品炊き込みご飯)
そして、ああ、アメリカと較べて物価が安い。コーヒー1杯1~2ユーロ、国内スーパー大手Pingo Doceではお惣菜も充実、魚の天ぷらとかミートパイとか、パンやお菓子も買い込み、うれし涙が出そうだった。お土産屋さんのラインナップも手が届くお値段。アメリカで買えなかった帽子も(中国製だが)15ユーロでゲット。
2022.9.12 大陸横断+大西洋横断
せっかく?アメリカに来たのだが、ポルトガル中部のコインブラCoimbraというところで学会があり発表を申し込んだので、ポルトガルへ転戦した。
サンフランシスコからの直行便はお高いので、途中ワシントン(ダレス)で乗り継ぎのユナイテッド航空大陸横断+大西洋横断ルートになった。ワシントンでの乗り継ぎが50分なので大丈夫なのかと旅行会社の人に聞いたら、出国は簡単なので大丈夫とのこと。
カリフォルニア州、ネバダ州、ユタ州、コロラド州の砂漠地帯を延々と飛び、どこがロッキー山脈かと思っているうちに大平原になり、カンザス、ミズーリ、イリノイ、インディアナ、オハイオなどを通って、東海岸のワシントンまで5時間強、最後に機長が21年前のきょう(2001年9月11日)、テロで犠牲となったユナイテッド航空とアメリカン航空の旅客機について触れ、私たちは負けないみたいなことを(たぶん)言って、乗客は拍手を送った。
(左;コロラド川支流グリーン川、右;大平原)
(大陸横断ルート)
そのワシントンでは確かにセキュリティチェックもなく乗り継ぎでき、「去る者は追わず」だった。ポルトガルのリスボン行きは、久しぶりに英語とそれ以外(ポルトガル語)の2か国語のアナウンスで、窓際の席だったが海しか見えず、ひたすら寝た。
ポルトガルの入国審査では「何の目的で来たのか」と言われたので、ipadで学会のウエブサイトを見せたら「それは見たことある、地形というのは地面のでこぼこのことだろう」「気候変動とも関係あるのか」というので「ある」と言ったら、「アンデス山脈が気候に影響を与えていて・・・」とか審査官が説明をしてくれた。地理学が好きなんだそうだ。すばらしい!
(リスボン空港)
リスボン空港からはメトロでポルトガル国鉄(CP)のオリエンテ駅まで6分、コインブラまでインターシティ急行の切符も簡単に買えた。駅からのタクシーもホテルの受付もスムーズで、みんな親切だった。いい感じだぞポルトガル。
(左;メトロのシートはコルク貼り、右;CPリスボンオリエンテ駅)
2022.9.9 サンアンドレアス断層巡検
サンフランシスコにはサンアンドレアス断層という活断層が通っており、1906年のサンフランシスコ大地震、1989年のロマプリータ地震などを引き起こした。UCバークレー校のキャンパスの中にも、サンアンドレアス断層の支脈のヘイワード断層という活断層が通っている。
USGS(アメリカ地質調査所)やUCバークレー校のウエブサイトに巡検ガイドがあり(Stoffer 2006; Rademacher 2017)、まずはキャンパス内の活断層を見に行った。
ゴールドラッシュで栄えた旧鉱山学部の建物は1907年完成の歴史的建造物だが、1998~2003年にかけて耐震改修された。レンガ造りのロビーは鉄筋で補強され、基礎部分にはゴムのダンパーが入っているそうだ。
鉱山学部なので訓練用に掘られた坑道もある。
アメリカンフットボールの試合が行われる「カリフォルニア記念スタジアム」は1923年に完成したが、中央をヘイワード断層が横切っている。2010~12年に全面改修され、断層をまたぐ部分は伸縮性を持たせている。だが、ヘイワード断層はふだんから少しずつずるずるすべっている断層(クリープ断層)で、ひび割れや外壁のずれを見ることができる。
(チーム名はゴールデンベアーズ)
(外壁の隙間)
キャンパスの南側の道路も坂の上にひび割れや横ずれが見られ、そこから金門橋がよく見えた。
翌日は活断層の専門家で訪米中のO先生がご家族や研究仲間の友人と一緒にサンアンドレアス断層を案内してくださった。
ワイナリーの建物がクリープ断層でずれていたり、横の水路が右横ずれしていた。熊本地震の時のずれは地震の時に動いたのだけれど、こちらは年に1cm位の割合でずれているそうだ。
(水路が右横ずれ)
サンホアンバティスタという小さな町の教会は高さ15m位の崖の上にある。この崖はサンアンドレアス断層がつくった崖だそうで、ほかはだいたい右横ずれなのだが、この部分だけ垂直ずれしている(地質や岩層の影響なんだろう)。
(教会の横の崖)
そのあとヘイワード断層のクリープを何か所かで見た。
(使っていない線路が曲がっていた;フェンスがあって入れなかったがあとでドローンで確認)
(旧ヘイワード市役所)
巡検終了後、O先生友人ご夫妻にメキシコ料理レストランでおいしいタコスをごちそうになって解散した。O先生はじめ、皆様ありがとうございました(しかし、アメリカ人同士の会話は全く聞き取れず、とほほ・・・)。