2023.3.17 メコンデルタの遺跡

 カンボジアの次はベトナムの調査に参加した。昨年8月に次いでベトナム考古学のY先生のお供で、南部社会科学院でメコンデルタのオケオ遺跡の遺物観察の後、遺跡の現地調査のためメコンデルタを訪問した。

 カントーCan Tho直轄市ニョンタインNhon Thanh遺跡訪問のためカントー市博物館に挨拶に行くと、面会した9人中8人が女性で、館長さんも女性だった。

  (カントー市博物館)

 ニョンタイン遺跡はデルタのど真ん中の水田だったところで、現在は果樹園になっているが、濃尾平野関東平野の湿地帯と同じように、耕地にするために地面を堀って盛土するため、水面と盛土が縞状に分布する(日本では堀上田とか呼んでいる)。あ、インドのケララ州の海岸にもあったぞ。こんな場所で「オケオ文化」の遺跡が発見されている。

  (ニョンタイン遺跡)

 次は「オケオ文化」の中心地のアンザン省オケオとその周辺の遺跡を見学した。紀元前から10世紀頃までのカンボジアで言えばプレアンコールの時代で、扶南という国家があった。レンガの建造物や運河の跡、ヒンドゥー教の神像や仏像、ローマのコインや中国の鏡などが発見されており海上交易が盛んだったらしい。

  (左;オケオ、Go Sau Thuan遺跡、右;Tri Ton、Go Thap An Loi遺跡)

  (左;ブラフマ-像、右;仏像、アンザン省博物館)

 ベトナム政府としてはオケオの世界遺産登録をめざしており、省の博物館のほかに「オケオ文化遺跡管理委員会」という組織も作ってユネスコに申請している。当時の建造物は基礎しか残っていないが、屋根をかけて保存し、発掘された遺物はホーチミンカントー市、アンザン省などの博物館と「管理委員会」の展示館などで展示している。

  (アンザン省博物館)

  (オケオ文化遺跡管理委員会展示館)

 フランスや韓国、インドなどと共同研究がすすめられ、日本からはY先生のチームが調査に参加しているが、ハノイホーチミンの社会科学院と各省の博物館と人民委員会直轄の「遺跡管理委員会」などが入り乱れてたいへんそうだな~。

 (オケオ文化遺跡管理委員会にて)