2023.2.10 ケララでフィールドワーク

 コリコーデKozhikodeの研究所のC博士のお世話で4日間ケララ州でフィールドワークに行った。プロジェクト雇用のポスドクと研究助手の若手2人が同行し、研究所の車を出してもらった。ケララ州は南北に細長く、西ガーツ山脈が海に迫り、河川は短く海岸平野は狭い。浜堤が発達しているところは内陸側が湿地帯(バックウォーター)になっている。

 初日はケララ州北部Cherukunnuのマングローブ湿地を見学した。ボートの借り上げができるところがわからず、地元の観光局を訪ねたらボートをアレンジしてくれた。マングローブヒルギが多く、水鳥や猛禽類もいた。往復約300km、コリコーデ帰着20時。

  (マングローブの観察)

 2日目は南下して最大都市コーチKochiを過ぎ、目的地のAshtamudi湖着がもう夕方だった。地形が複雑で、どうも丘陵地のおぼれ谷のようだった。湖畔の家は近年地盤沈下で大潮の時浸水するらしい。カンボジアベトナムなら杭上家屋なのに、このへんではそういう家は作らない。こんなところでなぜ地面に直接家を建てるのか意味不明。州都ティルヴァナンタプラムThiruvananthapuram着21時、走行約400km。

 (何も水面ギリギリに建てなくても)

 (途中のフェリー)

 3日目、博物館見学後、ケララの研究所の支所を訪問し、ケララ州からとなりのタミルナドゥ州のカニャクマリKanyakumari(コモリン岬)着17時。ここはインド本土最南端で、目の前の島にお寺があり遊覧船が出ているが船は16時まででアウト。18:30、アラビア海に沈む夕日を見て、ティルヴァナンタプラム帰着22時、走行約200km。

  (ティルヴァナンタプラムの美術博物館と自然史博物館)

  (カニャクマリ)

 4日目はC博士がティルヴァナンタプラムで会議のため、若手2人が付き添ってくれてティルヴァナンタプラムのPadmanabhaswamy寺院に寄ってから、コーチKochiの手前のKuttanad低地を訪問した。お昼はKuttanadで魚を食べるというので着くまで我慢して、昼食は15時、そのあとまたボート乗り場を捜したが、若手の研究員君はどうすればいいのかわからない。ネットでツーリズムオフィスを探してここに電話しろと助言して、アラップーラAlappuzha(アレッピー)で無事ボートをチャーターできた。ここは12年前にバックウォーターのハウスボートツアーをしたところだ。日没まで2時間ほど乗船、そこからコーチ空港のそばのAngamary着23時、走行約250km。C博士は列車で先に着いていた。

 (Padmanabhaswamy寺院:10年ほど前地下から莫大な金銀財宝が発見され、バチカンを抜いて世界一リッチなお寺になったらしい)

  (バックウォータークルーズ)

 

 ケララ州の道路事情はすごく悪くて、高速道路は工事中でほとんどできておらず、主要都市もすべてバイパスなしで中心部を通るため渋滞がひどい。

 研究所の専属運転手さん、ドライブテクニックがすごくて、対向車線を使ってとにかく前の車を抜く。クラクションならし放題、ハイビームでチカチカ、あおり運転のお手本みたいだった(おかげで所要時間は短縮)。工事中の片側交互通行のところも早く行かせろと交通整理の作業員さんをあおっていた。

 

 ケララの海岸地形の調査はほとんど手つかずのようで、C博士は張り切っている。自分もお手伝いで、昨年インドの人工衛星画像で少しだけ地形を判読したが、丘陵・台地、浜堤、低地の区分をして平野の形成過程を解明してみたい。