2022.12.29 年末の「第九」

 これまでも時々年末に「第九」を聴きに行っていたが、今回ウクライナ国立歌劇場の来日公演があったのでチケットを入手した。招聘元は光藍社という会社で、以前からウクライナの「キエフ・バレエ団」やオーケストラを毎年招聘していた。そういえば以前一度ここの「第九」を東京で聴いたことがあったが、もちろん戦争になってからは初めてだ。

 東京オペラシティ(新宿)のホール側面の3階席で、オーケストラを上から見おろすような場所だったが、指揮者の顔も見える。はじめの「エグモント」序曲で、オーケストラの息継ぎが聞こえてこりゃすごいと思った。それぞれの楽器がそこで鳴っているのがわかりおもしろい席だった。

 指揮者はたぶん数年前に聴いたときと同じ人(ミコラ・ジャジューラ)で、胸にブルーと黄色(ウクライナ国旗の色)のポケットチーフをさしていた。合唱団の女性は皆真っ白いドレスで(天使みたい、あるいは白装束か)思わずはっとするような感じだった。彼女らも胸に小さなブルーと黄色のリボンをつけていた。

 演奏が終わると大きな拍手とスタンディングオベーション、そして客席の何カ所かで大きなウクライナ国旗が振られた。こちらも旗がなかったので文房具屋で青と黄色の付箋紙を買って持参し、つなぎ合わせてちらしの袋に貼って振り回した。

 光藍社は気が利かないのか、戦争のさなかに来日して東京で「第九」をやっているのに取材もメッセージも何もなかったが、彼らはたいへんな思いをして日本に来ているようだった。

(横浜公演の記事)

https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000281705.html

 「第九」の歌詞は「世界の人々は兄弟」、みたいなことを言っているけれど、東西ドイツ統一のときも「第九」だったし、本当に心から喜んで歌えるようになって欲しい。