2022.7.17 二つのベルギー 

 昔の記憶では、ベルギーの言語は「ワロン語」と「フラマン語」で、ワロン語がフランス系でフラマン語がオランダ系というややこしい話だったが、ワロンの人はフランス語を話し、フラマンの人はオランダ語を話すということらしい。

 ワロン地域(ワロニア)というのはベルギーの南半分のことで、北半分がフラマンと色分けされている。先週行ったジオパークは南部なのでワロニアだった。一方フラマンといってもピンとこないが(これはフランス語らしい)、フランドルとかフランデレンとか(オランダ語)、フレミッシュとかフランダースとか(英語)、混乱する。フランダースの犬とフランドル海進は聞いたことあるな。

 で、ブリュッセルのまわりはフランドルだけどブリュッセルはフランス語圏(何といえばいいのか?)。ワロンとフランドル(と言うことにする)の関係はなかなかたいへんらしく、政党もそれぞれの地域(言語)ごとに別で、国が分裂しそうになったこともあるらしい。ブリュッセルでは看板などはすべて2言語併記で、メトロとかの車内放送も2言語で徹底している。何か書いてあってもフランス語とオランダ語なのでちっともわからない(わからない方が悪い)。

 政党だけじゃなくて、大学もフランス語とオランダ語で分裂したそうだ。ルーヴァンカトリック大学、という有名な大学は、フランドルのルーヴェンオランダ語カトリック大学(KULeuven)が1960年代に分裂して、ワロニアにルーヴァン・ラ・ヌーヴ(新ルーヴァン)をつくって、そこにフランス語のルーヴァンカトリック大学(CULouvain)を建てたのだそうだ。頭痛いぞ。旭硝子財団の「ブループラネット賞」を受賞した地理学のランバン教授はCULのようだ。

 というわけで、歴史的に古い方のルーヴェンに行ってみた。ブリュッセルから電車で30分くらいの小さな町だが、駅舎も立派だし町並みも趣がある。

 

 町の中心部の広場に面して、大学の図書館の建物があり、中も見学できる。ダブリン大学の図書館がすごかったがここもなかなか。塔の上から町を一望できる。

 

 市庁舎はごてごてのゴシック様式で内部の見学ツアーに参加したときに、フランデレンとワロニアの説明をしてくれたが、「今は仲良しなんですよ」と言っていた。

 

 世界遺産の「ベギンホフ」という地区にも行った。中世に女性が自立して共同生活をしていたところで、「女子修道会」とも呼ばれるが修道院とはちがうらしい。現在はKUの所有となっている。

 

 フランス語圏のベルギーとオランダ語圏のベルギーは、今は仲良しと言うけれど、何かにつけライバル意識があるようだ。こちらとしてはアントワープルーヴェンなどオランダ語圏の方が英語がすぐ出てくるので助かるけど。

 (フランデレンとワロニア)